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離婚・ひとり親

海外の養育費事情から見た 日本のあり得ない現状


前回の記事(親権をとりたい)で書いたように「単独親権」のみが採用される日本では、親権を失った別居親が子どもと面会できないケースも多く、「養育費不払い」に繋がる理由の1つになっていると懸念する声もあります。そこで海外の養育費事情を見てみると…
「共同親権」を採用しているアメリカやイギリス・韓国・中国では、「養育費の取り決めは離婚の条件」になっています。ちなみに、イギリスは婚姻してから1年間は離婚できません。(法的別離・別居の申し立ては可能)日本では離婚する際、「親権」を決めるのは必須ですが、養育費の決定については義務ではありません。

実際の厚労省のデータを見てみると…離婚時に養育費について取り決めていない母子家庭が、全体の54.2%。養育費の支払いを受けたことがない母子家庭は56.0%と半数以上の母子家庭が養育費を一度も受け取ったことがないのです。この日本の養育費の支払い率は、先進国の中で最低レベルです。その理由は…
・相手と関わりたくない(31.4%)
・相手に支払う能力がないと思った(20.8%)
・相手に支払う意思がないと思った(17.5%)


この調査からは少し年月が経っているので、少しは改善されているかもしれませんが、それでも現状、ひとり親世帯の貧困率が48.1%と約半数。子どもの貧困率は13.5%で7人に1人が貧困状態(2019 国民生活基礎調査の結果)

さて、お話を海外に戻し…アメリカでは、離婚制度や養育費の取り決めは州によって違いがあるものの…養育費を支払わない親が刑事罰を受ける、または裁判所侮辱罪に問われ身柄拘束を受ける州もあるそうです。不払い時は、国や州政府が給与などから天引き。不払いが続くと氏名公表、運転免許停止、パスポート停止や収監などさまざまな制裁が科されるとのこと。オーストラリアやイギリスでも養育費は給与から強制的に天引きされます。韓国は、2015年にアジア初の養育費確保の支援機構ができたことにより、回収率が大幅に上がったそうです。また、「バッドファーザーズ」として不払いの親の身元をネット公開することが「公益のため」とされているほどでした。

またスウェーデンを見てみると、子どもの親権は共同親権なので親権争いもなく、子育てには両親が関わってくるため、「2度と会わない」ということはありません。また日本では子どものことを「連れ子」というような少しネガティブにも取れる呼び方をしますが、スウェーデンでは「ボーナスキッズ」と呼ぶそうで、歓迎したい存在ということだそうです。そんなスウェーデンやドイツ、フランスでは国が養育費を立て替えます。一方、「本当に先進国なのか?」と囁かれるほど遅れている日本では、養育費の支払いも任意なのです。「日本では、離婚による貧困は自己責任。養育費は子どもと暮らす親が自力で何とかすべきだ」という風潮が未だあると言われています。それが少しずつ政府の動きで、変わるかもしれない兆しが見えてきました。子どもの貧困対策を考えるとすれば…国には不払い時の立替や強制徴収、取り決めの義務化や罰則など…子どもの人権を守るためにも、払うべき人がしっかり払うよう制度を整えてほしいところ。縦割り行政打破で掲げられている「子ども庁」創設がどうなるのか…も含め、注目していきたいところですね。

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