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離婚・ひとり親

養育費未払いを自治体が保証

養育費問題に詳しい大阪経済法科大学の小川富之教授(家族法)は以前、「養育費が行き届かない最大の要因は国の制度がないこと。今日を生きるのが困難なひとり親家庭もあるため、早期に実現するのが望ましい。自治体と連携し、制度設計と並行した支援策を考えるべきだ」と話されました。

このように養育費支払いの立替制度に関しては、以前から導入の必要性が指摘されていました。そんな中2020年7月に、兵庫県明石市が養育費支払いの「立替制度」を先駆けて実施しました。(明石市こどもの養育費緊急支援事業)これまでにも、前回ご紹介したように「明石市養育費立替パイロット事業」として、民間の保証会社と連携する社会実験的なものもされています。自治体が直接立替をするのは、これまた明石市が全国初の試みです。明石市長の泉房穂氏の口癖は「子どもはカバンじゃない!どっちが持ってく?っていう話じゃない」だそうで、2014年には、自治体として初めて「子どもの養育に関する合意書」を作って配布するなど、いろいろな「離婚子育て問題」に取り組んでいらっしゃいます。そして同じような物を法務省が作り、現在全国に配布されていると言われています。大阪で行われた、2021年までに児童虐待死をゼロにしようという取り組み「ゼロ会議」にも出席されていて、会場で明石市長のお話を拝聴したことを思い出します。
この制度は、支払うべき側が養育費を支払わない場合に、
①市が支払うべき人に催促
②市が養育費額の立替払いする(5万円まで)
③市が本来支払うべき側から費用を回収する
という仕組みです。子どもが明石市に住み、調停調書や公正証書の公的な取り決めをしていて、前月分の養育費を受け取れていない世帯を対象に、一ヵ月分に限りという条件で、期間限定で行われました。

このような制度はスウェーデンやドイツ、フランスなど欧州諸国の一部、また韓国では国レベルで定着しています。が…先進国であるはずの日本では、まだまだ進んでいないのが現状です。行政が主体となり、養育費確保に取り組んでいるところは残念ながらありません。実情、養育費を受け取れているシングル世帯は全体の4分の1以下なのです。

厚生労働省「平成28年度 全国ひとり親世帯等調査」に、ひとり親のうち「現在も養育費を受けている」世帯は21.5%にとどまるというデータがあります。行政による立替制度が普及してくれば、ひとり親世帯は別居親が実際に支払ったかどうかに関係なく、確実に養育費相当額(上限あり)を受け取ることができるので、とても助かる制度ですね。しかしその一方で、リスクを行政が引き受けることになるため、資金の回収がうまくいかない場合は財政負担が発生してしまいます。ここでもそのような背景があり、なかなか行政主体での立替事業は難航しているようです。 ただ、養育費保証を支援する動きの自治体は増えてきていますので、そちらも参考になさってください。⇒養育費保証を支援する自治体一覧

ひとり親の貧困・虐待に繋がりかねない養育費未払い問題。2020年6月には、法務省と厚生労働省が連携して「不払い養育費確保のための支援に関するタスクフォース」が設置されました。自治体だけでは難しい問題、国をあげての政策を期待したいところですね。

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