養育費は子どもが成人するまで「育つため」のものであり、子どもの権利です。
この世に子どもを誕生させたのが父と母であるならば、たとえ別れても父と母2人で責任を持つべきものなのです。民法にも「(養育費等の取り決めは)子の利益を最も優先して考慮しなければならない」と定められています(766条1項)。「養育費支払いについて知っておきたいこと」もご覧ください。
その、「こどもの権利である」養育費ですが、厚生労働省の「平成28年全国ひとり親世帯等調査」によると、一度も養育費を受け取ったことがない母子家庭が全体の56%を占めていたというから驚きです。また、過去には受け取ったことはあるが、現在は受け取ってないと答えた人が15.5%。合わせると、71.5%もの人が養育費を受け取っていないということになります。ちなみに養育費の額が決まっている世帯の平均月額は43,707円。年間計算すると、平均で約52万円もの金額を受け取れていない事実が浮き彫りになってきました。シングルマザー・母子家庭には死活問題ですよね。
離婚やシングル世帯が珍しくはない昨今。「子どもとの時間を大切にしたい」と思いながらも…夜、子どもの寝顔を見て泣きながらも夜勤に出かけなければいけないママもいらっしゃいます。「子どものため」でも、その背景には「子どもと一緒にいてあげられない罪悪感」に苛まれているママも少なくありません。
・本当はかぎっ子にしたくない
・子どもが望む学校に進学させてあげたい
・子どもが欲しいものを買ってあげたい
・眠るときは傍に居てあげたい
・本当は、子どもだけの留守番が心配
などなど、いろいろな悩みをお聞きします。
それなのに、何か問題が起こると「あそこの家は普段お母さん居ないからね」などと言われることも多いようです。「居ない」のではなく、「居たいけど居られない」なのに…
シングルになって頑張って子育てをしているほうだけが責められる。一方養育費も支払わずに子どもの面倒も見ずに、自分の新たな生活を確立している方の親は責められない。
生活が苦しく、やるせなく・さみしく・一人で抱え込む重圧におし潰されそうになり、気持ちに余裕がなくなった母親が、我が子に手を上げてしまったら…(虐待は確かにいけないことですが)そんな母親は散々世間から責められるのに、なぜ「養育費を払わない」という虐待(ネグレクト)をしている父親は全く責められないのでしょうか。同じ親でありながら「払いたくない」が許されている日本社会の実情には、疑問を感じます。
今の子どもたちは、日本の未来を担う大切な存在です。 少しずつ改善されてはいるようですが、しっかりと法改正して「立て直すべきところは立て直す」対策をとっていただきたいですね。
関連記事
養育費支払いについて知っておきたいこと
ひとり親家庭の貧困 その原因は?
養育費払いたくない 仕事やめる ネット検索多数
公正証書を作るメリット・デメリット
公正証書を作る費用